人を想い、
住まいをつくる。
その暮らしを想い、
施設やまちをつくる。

About us

すべての建物が人々の暮らしを包み込み、
生活や安全を保障するものであるように-。

住まいは、人間らしく生きるための器。
施設は、健康的で文化的な生活を送るための器。
私たち企業組合もえぎ設計はそんな器をつくるために
施主様と共に考え、共に歩む専門家集団でありたいと考えています。

Works事例紹介

大阪府島本町 改装 

こどものいばしょ「もざいく」とおやこのはじまり「はぐ」

 しまもと里山認定こども園の新しい施設として、昨年10月に開設された二つの拠点です。本園の隣に建っていた二つの空き家をリノベーションして開設されました。「もざいく」は、小学生から中学生までの学校に行きづらくなっているこどもたちを受け止め、高校生の居場所としても利用できます。「何もしない」日もあっていい無理にこなくてもいい自分のペースで自分らしくいられるそんなところです。
 改修した築80年の木造棟はおおらかで趣がありましたが、長い間使われておらず、雨漏りや老朽化も進んでいました。元の間取りや柱梁を活かしながら改修しています。
 こどもたちが自分の居場所を見つけられ、そこにいる仲間と何かを一緒にしたくなるような楽しい場所になったらと構想が膨らんでいきました。こどもたちが使える台所、外につながったアトリエ、ロフトのある図書室、今のこどもたちには馴染みの薄くなった縁側や和室、ワイルドに遊べる土間、何にも作り込まない庭などが緩やかに繋がっています。
 「はぐ」は、妊娠、出産、産後で不安がいっぱいなお母さんやお父さんを応援するところです。ゆっくり心身を休めることができる居間や個室、浴室や沐浴槽を備えています。築50年のプレファブ住宅を内装替えしました。敷地内には水路が流れ、常に美しい水が流れています。ゆったりとした敷地の中に地形のままの庭があり、少しずつ活用がはじまっています。北の庭にはさつま芋を植える畝が作られ、南の庭では秘密基地づくりが始まっています。近所の方々が、花や野菜を植えに来てくれるそうです。いつの間にか疲れてしまった心や体を柔らかく包んでくれて、少しずつ自由の翼が回復していくのを見守ってくれる、そんなケアの空間が生まれています。



京都市 H邸 新築 

地下室とロフトのある家

H邸の敷地は、衣笠山麓の落ち着いた住宅地。建蔽率50%、容積率80%の地域なので、容積率にカウントされない地下やロフトをつかって床面積を確保しています。ゆるやかなまわり階段で四層がつながっています。

施主さまより

陽だまりの我が家               
「木の匂いでいっぱいのかわいい家ですね」訪れた人が言ってくれます。
 南側に大きく開放された木づくりの家。寒がりの私がお日さまをいっぱい入れたいと設計時にお願いしました。軒先にも透明のパネルを入れて、梅雨時や冬も、朝から明るい日差しが部屋に差し込み、まるで陽だまりに包まれたような空間です。
 小さな庭では家庭菜園に挑戦しました。ミニトマトやさつまいもを植え、初収穫を楽しみました。
おとうさんはというと、地下の書斎ができて満足のようです。
さて、中1、小6の二人の息子の希望は「自分の家に友だちを呼びたい」ということでした。リビングの上には、隠れ家のようなロフトがついており、自分たちの基地だとわくわくしています。何よりも自分たちの部屋があるので、これからもたくさんの友だちを呼んで遊ぶことでしょう。                       

大阪府枚方市

第2長尾保育園 新築工事

第2長尾保育園は枚方市東部に位置し、京都府南部の京田辺市とも隣接しています。この地域は京都・大阪・奈良どこへでも通勤が可能で住宅地としての開発が進んでいますが、まだまだ農地が保全されていています。原風景ともいえる田畑が続く見通しの良い景観を大切にすることと、屋外での遊びや自然との触れ合いを大切にしておられる保育内容との関係で、外部へのつながりが設計の大きなテーマでした。
 もともとは北側の府道に面した弓型の敷地での建て替えを検討していましたが、水路を挟んで南側にあった園庭の隣地を購入されたことで、まとまった敷地を確保し敷地を移転しての建替えになりました。そのため子ども達は仮設園舎に移動することもなく工事完了まで旧園舎で過ごすことができ、旧園舎が建っていた敷地は建物解体後、緑地帯としてみどり豊かなアプローチと保護者専用の駐車スペースになりました。
 保育室は、1階が0・1・2歳児の乳児、2階が3・4・5歳児の幼児ゾーンと大きく分けて構成し、それぞれ園庭に南面させました。園庭に面した1階のテラスと2階のベランダは、それぞれ奥行が2メートルあり、フラットに出入りできる床は保育室の延長としても活用できます。
乳児のお部屋は、床は国産のくるみ材、天井は落ち着いた吸音のフラット天井、壁は包み込まれるような暖色系を基調にし、幼児のお部屋は、床は少し堅めの国産カバ材、天井は屋根なりに上昇感のある伸びやかな勾配天井、壁は成長に合わせた寒色系です。クラスが上がる毎に、床材や囲まれる色や空間が変化して子ども達の五感を刺激することを意識しました。
 南に突き出たランチルームは食事をするだけでなく、目の前の畑で育てた野菜を給食に取り入れる保育を実践されているので、調理をしている様子や匂いを感じる厨房とのつながりを大切にしました。野菜の収穫や下ごしらえなど子ども達が活躍する場にもなりますし、園庭に向きに大きく庇をかけて繋がったテラスでは、お餅つきなどの食に関する行事が楽しんでできるようになっています。

大阪府三島郡島本町 生活介護施設

いくつかの居場所がうむ居心地のよさ わくわくぷらす新築工事

 約25年前に改装の設計をさせていただいた共同作業所 が建て替わることになりました。日中介助を受けながら 障害のある方が食事や創作活動などをして過ごされる生 活介護の施設です。  建物の大きさからして住まいと変わらないスケールで す。仕上げは前の作業所や「グループホームひろせ」と 同じく木を活かし、利用者が安心して気持ちよく過ごせ る空間を目指しました。
 敷地まわりは住宅が立ち並び、袋小路の土地であるた め、静かで落ち着いた環境です。前面道路からのアクセ スに配慮し、北側に玄関を配置しました。利用者が過ご す主要な居室である1階の機能訓練室、2階の多目的室 は採光のために,、東側の通路部分に向け大きな開口部を 設けました。それぞれテラスやバルコニーを介して外と つながります。機能訓練室には手洗いの他に、紙すきの 創作ができるように流しとカウンターを設置しました。
 静養コーナーもありカーテンで仕切れるようにしていま す。玄関、階段下や廊下に木製のベンチを置き、機能訓 練室から離れて休憩したいときに過ごせる場所もつくり ました。  職員の方と必要な部屋を話し合い、間口の広い部屋、 斜め天井の部屋、狭い場所、見通しのいい場所などさま ざまな空間ができました。利用される方がそのときどき で過ごしやすい場所を見つけられたらと思います。 

京都市北区 保育園 大規模修繕

たかつかさ保育園 大規模修繕工事

 1980年UR(旧都市再生機構)の団地の一角に竣工した緑豊かな保育園です。40年以上大切に使われ、オリジナルの遊具や豊かに成長した樹々が茂る園庭が特徴的です。園内の内外に傷みがあり、法人としては建替も検討しないといけないのか、、、。その様な状況でご相談いただきました。各所の劣化状況を調査した上で、建物の構造には大きな問題がないこと、改修すればまだ数十年使い続けられることをお伝えすると安心されていたのがとても印象的でした。これまで日常の様々な改修には取組んでこられましたが、建物全体の改修に本格的に取組むのは今回が初めてです。
 屋根は劣化が進み雨漏りを引き起こしていました。また屋根直下の保育室の保育環境を向上させることも考え、断熱改修と併せ屋根を葺き替えました。外壁は打放し仕上げでしたが、ツタに覆われ改修困難な部分も有りました。この機会に一旦ツタは撤去し、コンクリート躯体に外部から水が染み込まないよう、打放しの風合いを残した塗装を施しました。外壁工事を行うために、園庭の一部が足場に占有されてしまいましたが、子どもたちは、工事着工日に園長先生と交わした安全についての約束を守り、竣工まで安全に過ごす事ができました。工事で一旦撤去・剪定した植栽も有りましたが、工事後勢いを取り戻し、工事前の緑豊かな雰囲気に戻りつつあります。

京都市 K邸 改装工事

60㎡の広さと容積を使いきる

 緑豊かで環境もよい人気の高野の公団を購入され改装工事を行いました。
 水廻りは極力そのまま生かし、リビング周りを中心とした改装です。みんなで過ごすリビングを広くし、南北に風の抜ける伸びやかな暮らしがしたいと要望がありました。2人の子どもたちの成長に合わせてそれぞれの個室要求に応じながらスペースを確保し、空間をどう配分するかに計画の中心が置かれました。  
 リビングは既存の収納家具の配置、新しいミシンのコーナーや、洗濯物を仮り掛けする位置など細かく打ちあわせました。最上階ということもあり、リビングの天井をはがして上部空間を広げました。コンクリート打ち放しの天井をそのまま見せてスポットライトをあしらい、所々に古建具や古材を利用したモダンなデザインです。
 子どもたちの部屋もベッド・机・本棚・服の収納の位置を想定し、部屋の広さを決めました。リビングと同様に天井を取り払い、高さを利用したロフト収納を設けています。外壁面を断熱し、さらにインナーサッシを設けて快適に暮らせるように配慮しました。
 限られた空間を最大限に活用して居心地の良い広がりを感じる住まいとなりました。

京都市左京区 店舗

路地奥の隠れ家的カフェ「ふきまんぶく」

 Tさんに相談を受けて見に行った路地奥の小さな平屋の建物は、屋根が朽ち落ちて穴が開き、壁も剥がれ落ちた木造の小屋でした。定年後に地域食堂として使いたいが、何とかなりますか?と。
 Tさんは小学校の給食調理員さんです。いつでも立ち寄れる地域の憩いの場所になるのではと近所からも期待の声が上がります。さて、この建物、ほっておいたら今にも崩れてしまいそうです。大まかな計画をたて、まずは屋根を直さないといけません。
 庭までいっぱいに増築されていたのを撤去して、建設当時の形まで戻し、ささやかに外部空間を作ります。3 間角の大きさに庭とトイレが付き、客席14人分を確保する計画です。大 きな骨格は工務店さんにお願いしましたが、予算のこともあり、先に定年した博さんと私とで現場作業です。
 家具づくりを趣味としていたこともあり、テーブルを作っていただき、壁塗りは洸さんも交えて 3 人でやりました。
 廃業した製材所かいただいた一枚板のテーブルやカウンター、古建具の窓たち、流木を あしらった引手も素人作業とは思えない出来で、感じのいいカフェとなりました。
 近所の小学生とおじいちゃんが常連の心温 まる地域カフェです。

「ふきまんぶく」
cafe の名前は田島征三さん の絵本のタイトルからだそうです。

京都市 Y邸 新築工事

自然素材×ピアノ×DIYの家

 山裾に近く、冬は寒く夏は涼しい高台の敷地です。南面が道路で日当たりも良いため、1階はLDKを南側に並べ、水回りや玄関、階段を北側にまとめています。面積を抑えたコンパクトな間取りとしており、極力廊下を減らし、動線を短くしています。2階には個室が3部屋と家族の衣類をまとめて収納するウォークインクローゼットがあります。
 仕事上ピアノを使われることも多く、子ども達も気軽にピアノを弾くことができるように居間の延長にピアノ室を設け、居間との間は3枚引き違いの建具で間仕切れるようにしました。普段は戸を開けた状態で、ピアノを弾く時間だけ戸を閉めます。遮音効果はそれほど期待できませんが、空間的に閉じられ、集中ができれば良いという割り切りです。
 床は杉、胡桃、いたやカエデ、ほおの木など、多種の無垢フローリングを場所場所で使いわけています。壁には調湿性のある紙クロス「オガファーザー」を貼り、その上に自然健康塗料の「デュブロン」を施主施工で塗っています。どちらもドイツ製の仕上げ材で、自然由来の製品です。照明器具やスイッチ、洗面器など施主自らが支給したものも多く、想いの詰まった住まいになっています。
 構造材や仕上げ材は全て京都府内産材を使用し、木組は大工の手刻みで出来ています。地域の材を使い、作り手の技術を活かすことによって、持続可能な林業の継続や大工技術の次世代への継承につながることを期待しています。

※地域型住宅グリーン化事業、みやこ杣木普及促進事業、ひろがる京の木整備事業による補助金を利用。

幼稚園

大阪府 枚方市 幼稚園

森と水辺の幼稚園 -長尾幼稚園-

 敷地はなだらかな丘陵地の頂部から南斜面地へと広がる場所で、その西側に「大池」があります。同じ系列の法人が運営する「長尾保育園」に隣接していて、一帯は子育て支援の拠点となっています。
 幼稚園は老朽化も進み建て替えが大きな課題となっていました。「仮設園舎をつくることなく建て替えができないだろうか」と相談があり設計がスタートしました。広い園庭とその一角にある築山はできる限りそのまま残したいとの要望が出され、屋外での遊びや自然を大切にする強い想いが伝わってきました。
 園庭や築山を単に「残す」だけでなく、さらにその良さを発展させようと考えました。駐車場として使われ大規模に造成されていた南斜面地の西側を「遊びの森」として整備し築山とつなげ、かつてあった里山の風景を再生しようと試みています。「大池」の周りは水辺の自然が豊かに残っています。アトリエ棟は森と水辺をつなぎ、森での遊びの基地となるように構想しました。
 保育室11室、アトリエ棟も加えて12の部屋の床材は全て国産で異なる樹種の無垢材を使いました。アサダ・カバ・カエデ・ヤマザクラ・ブナ・ケヤキ・ナラ・タモ・シイ・ホオ・オニグルミ・クリの12種類です。それらを「クラスの木」と位置付けて「遊びの森」に植えています。北山杉の天然絞り丸太と垂木丸太を使ったオブジェを玄関などにあしらいました。アトリエ棟は木造で柱・土台がヒノキで梁がスギ、外壁はカラマツです。柱や梁の多くは見えるようにデザインしました。
 ふんだんに使われている木材を見て触れ、香りを感じ「遊びの森」を駆け回ることで、人の暮らしが自然と共にあることを五感を通して体験できればと考えています。「遊びの森」の若木が大樹に育ち、建物が使い込まれ床の木目が浮き出た頃がこの建物の本当の完成なのかもしれません。

大阪府 豊中市 生活介護施設

気持ち良い、楽しいを感じられる空間づくり -ほまれの実-

 南北に長く延びた旗状敷地に立つ3階建ての福祉施設です。建物の構成は1階が生活介護事業所、2階が短期入所施設、3階が会議室や休憩室となっています。
北側にメイン道路、南側に緑道が通り、周りには工場や畑が広がっています。東西面は畑と駐車場となっていますが、将来にわたって同じ環境が担保されるとは限らないため、日中利用者が長く滞在する居室は、環境が変わらず日差しもしっかり入る南に面して計画しています。  
 玄関のある北面は道路からもよく見え、建物の顔となります。2、3階は温かみのあるからし色の塗装、1階は緑鮮やかな二丁掛けタイルを貼り、明るく楽しげな印象としています。  
 建物を計画するにあたり、耐震性や耐久性に配慮し、利用者やスタッフが安全で使いやすい施設とすることは当然ですが、それだけでは日々の多くの時間を過ごす居場所としては物足りません。そこで過ごす時間の中で季節の移り変わりや、1日の時間の変化を感じ、「気持ち良い」、「楽しい」、と思える環境が必要だと考えます。今回の計画では工事期間中の打ち合わせに、法人さんも頻繁に出席をしてもらい、外壁の塗装から始まり内装のタイルや植栽など、一緒に多くの項目を決定していくことができました。施主と共に私たちが目指す居心地の良い空間が実現できたのではないかと思います。

京都府 京都市 幼稚園

教会の隣に立つ幼稚園 -幼稚園型認定こども園 復活幼稚園-

 復活幼稚園はW.M.ヴォーリズによって昭和11年に建設された復活教会と同じ敷地内に建つ幼稚園です。新しい園舎は園庭の真ん中にあるトチとイチョウの大木を残し、その木々を囲むような形でL型に配置し、西棟を2階建、南棟を平屋建てとしています。
  南棟を平屋として高さを抑えることで、園庭や樹木に十分に光が行き届くよう配慮しています。西棟には保育室やランチルームを配置し、園庭から午前中の陽が入り込みます。どの部屋からも木々が眺められ四季折々の美しさを満喫することができます。
 遊戯室と礼拝堂の間に増築されていた保育室は撤去し、中庭として整備しました。美しい教会の建物に囲まれた中庭は園庭とつながり、子ども達にとっての新たな遊びの場になっています。  
 職員室は玄関に面した建物中央部に計画することで、子ども達の動きを把握しやすく園庭への見通しも良くなるように配慮しています。
 外壁はレンガタイルや杉板をアクセントとして使い、教会に対して主張しすぎず、全体として落ち着いた外観としています。内部空間は創建当時の幼稚園のように、木に囲まれ、落ち着いた雰囲気を引継いでいます。

大阪府 島本町 グループホーム

木を活かしたグループホーム -わくわくホームひろせ-

 今から20年ほど前に共同作業所の改装に関わらせていただいたことのある法人さんから依頼を受け、設計をさせてもらった障害者のためのグループホームです。
 南には田んぼが広がり、北側は道路を挟んでお寺の敷地となっており、南北に気持ちの良い風が通ります。田植えや稲刈りの風景は四季の移り変わりを感じさせてくれます。
 敷地の条件から一戸建てよりも少し大きい程度の建物しか建てられないため、昨今の建設物価の高騰や建物の規模なども考慮し、木造で計画しました。
 日当たりが良く気持ちの良い南側に共用空間である居間を配置し、居住者が自然と集まってくれることを期待しています。個室は北側に配置しているため、道路側に多くの室外機が出てしまいますが、道路から見える景観にも配慮し、室外機置き場をデザインしてます。
 1、2階で男女を分けたいという希望もあり、玄関はそれぞれの階に設けています。各階ごとに集まって食事をするため、それぞれの階にキッチンがあり、主に1階で調理をし、2階のキッチンは温めと配膳用です。
 施設ではなく住まいをつくりたいという想いもあり、住宅らしい木に包まれた落ち着いた空間になっています。

保育園

京都府 長岡京市 保育園

小さな変形敷地に建つ保育園 -ひまわり保育園-

 長岡京市で初の産休明け保育を実施する為に、40数年前に認可外の共同保育所として開設されて以来ずっと、移転・資金づくり・土地探しを続けてきた保育園です。私たちも20年近く認可運動のお手伝いをする中で、2015年には小規模保育施設への改修にも関わらせていただきました。
 「この土地で就学までの保育園が建つでしょうか」と送られてきたのは、高速道路沿いの500㎡にも満たない変形敷地でした。これが長年の夢の実現への始まりです。
 定員からすると、保育室や園庭は基準面積ぎりぎりで、敷地内に十分な空地を確保するのは困難でした。しかし、現地に立ってみると、予想以上に高速道路の位置が高く、高架下の公園利用も併せその向こうに広がる西山の眺望が良く、外とのつながりを活かした保育園のプランができそうだと思い直しました。
 ひまわりの保育は食育が特徴の一つです。玄関に近く、保護者も子どもも前を通る調理室は、他の部屋より床を下げて調理員さんと子どもたちの目線を合いやすくしています。幼児さんはおかずを受け取り2階の保育室に運び、片付けも子どもたちの仕事です。
 2階の3つの幼児保育室では2歳児を含めた5才児までの縦割り異年齢保育を行っています。これは共同保育所時代からの長い実績を大切にした結果で、いろいろな年齢いろいろな子どもが刺激し、認め合いながら成長します。保育室前の広いテラスの透明な手摺越しに室内からでも山並みが見え、下階の築山で遊ぶ乳児さんたちの姿も眺められます。3階には職員スペースを配置し、コンパクトながらも人や外とのつながりを大事にした園舎ができました。

京都市 S邸 新築工事

想い出を埋め込んで建て替えた家

 元の住まいは前庭を眺めながら玄関に至るアプローチが素敵で、裏庭も古い板塀があり樹木もよく手入れされていて風情がありました。家の中も古いものを大事にされている様子が伺われ、そうした良さを引き継ぐことが大切だと私たちは考えました。反面、持ち物が増えて整理がつかない悩みもあり収納をどうするかは建て主のご夫婦と相当に検討を重ねました。
 庭の位置を前とあまり変えないですむように建物を配置し、樹木の一部はそのまま現場で保存しました。建設に支障となった樹木も工事の間ずっと植木屋さんに預かってもらって、建物完成後再移植しました。以前の前庭は家の中からはあまり見えませんでしたが、今回は道路ぎわに板塀を設け外部からの視線をある程度遮れるようにして、庭に面した大きな引き込みのテラス戸を設け、屋内からも前庭の眺めを楽しめるようにしました。一、二階ともに仕切りの建具を開けると一室にでき、前庭と裏庭をつなぐ伸びやかな空間になります。風も良く通り、以前の建物に比べて間口は減り面積も小さくなったのですが、広々と感じられるよう工夫しました。
 収納については持ち物の総量をつかみ、建て主さんには必要な物とそうでない物の区分けをお願いし、私たちはそれに応じて既存家具の置き場を検討したり収納計画をつくり、それを何回も擦り合わせて設計を練り上げていきました。竣工から一年が過ぎましたが、一つ一つの物がその居場所を得ているようでホッとしました。
 一階の床はくるみ材を古色仕上げにし、一部の壁は土塗り壁で仕上げて少し古びた感じをだし、新築なのに元の家の気配がするような内装にしました。大事に使ってこられた家での大切な記憶を、新しい建物の中にうまく埋め込みたいと思いながら進めた仕事でした。

木の家 別荘

美山 T邸 新築工事

川のせせらぎを楽しむ別荘

 Tさんご夫婦が退職後の楽しみに求められた美山町の土地は、川のほとりに開けた日当たりのよい伸びやかな敷地です。週末に通って、好きな草花や樹木を植えたり農作業をするうちに、ログキットで建てた作業小屋と山野草を楽しめる洒落たロックガーデンが造られていきました。
 川に面して開けた眺望の良い周囲の環境をどう取り込むかがコンセプトだったので、建物は敷地の一番奥の川に面した場所に配置し、居間・食堂を取り囲む両方のコーナー窓は全てフルオープンのサッシにしました。気候のよい時期には、爽やかな風が通り抜けます。非日常を楽しんでもらうために薪ストーブを置き、多人数で寄り付きやすいキッチンをデザインしました。
 面積を抑えるために、玄関スペースはありません。あえてご夫婦の寝室もつくらずにベッドのみで収納を兼ねています。客間もなく、梯子で上がる布団置場兼用のロフトは、きっとお孫さん達に人気のスペースとなっているでしょう。建物本体はコンパクトですが、川に向って張り出しコの字型に廻したテラスは、 奥行きも深く部屋からフラットに出られるため、居間や食堂の延長として大勢でも対応できます。
 建物の中から庭や畑、川までつながって、ご家族やお孫さん達が賑やかに集う場所であって欲しいと願います。

グループホーム

兵庫県 神戸市 認知症高齢者グループホーム

新しい住まいの形を求めて -よしだ内科診療所グループホーム-

 開業以来、施設の新築や改装などにずっと関わらせて頂いている医療法人が診療所に近接した敷地に新たにつくった認知症高齢者のグループホームです。
 設計の大きな目標は「誰でも住みたくなるような良質な住まいづくり」でした。建物の1階は管理部門と地域交流室です。地域交流室は入居者が家族と面会したり、家族会を開いたりするいわば応接間のような場所で、入居者の第二の寛ぎの場と考えました。2・3階はそれぞれ9名で一緒に暮らす居住階です。居間・食堂は陽当りも見晴らしも良く広がりもあり最も居心地の良い場所で、人と接する暮らしが自然と育まれるように意図しました。また、集団で暮らす事を強いるのではなく自らの意志で人との距離を決められることを大切にしたいと考え、個室は居間・食堂からあえて距離をおきました。個室には専用の洗面と便所を備え、衣類などを収納する家具を造り付けています。ベランダの近くには馴染みの家具も置いて一人で寛げるぐらいのスペースを設けました。ベランダは個室から段差なく出られ個室の居住性を高めると同時に火災などの緊急時に一時避難の場となります。
 グループホームを人が暮らす新しい集合の住まいの形と捉え、認知症であっても安全で人間らしく生きるための建物がどうあるべきかを法人と一緒に探求しました。