清原 2023.08.29
Blog庇の出の寸法 すまいの細部を考察する Vol.32
庇の出の寸法をどうやって決めるか。ネットで探すと無限に出てきます。夏至の太陽高度を読み取って掃き出し窓に入らないように出す。冬至の日差しはしっかり入れる。これをかなえるのにどの長さが最適かと考えるのですが、完全に南に向いている場合はわかりやすいのですが、方位が振るとちょっと変わります。
また、夏至は太陽が一番高く通りますが、ほんとに暑いのはひと月半ほど遅れて八月初めくらいですし、冬は4月ぐらいまでしっかり日差しを入れたいところです。こう考えると図のように単純にはいかないものです。残暑厳しい9月の太陽高度と、十分日差しを入れたい3月の太陽高度は同じくらいなのです。あー難しい。
でも雨はなるべく防ぎたいのも性能ですから、庇の出はたっぷりほしい。日射のコントロールだけでもないので、庇の機能をフルに使います。でも出し過ぎると冬の日差しが入らない。昔の家は軒が深くてさらに低いので、夏は涼しいですが冬が寒い。ほどほどを探すのです。
ソファーに座って外を眺めた時に軒裏が見えるのですが、軒が低いと空の見える量が減ります。天空がたくさん見える方が明るいし、開放感があります。庇はたっぷり出して軒先を高くしておくと、夏は日射を遮ることができて、冬の日差しも入ります。雨もそこそこ防げます。天空もひらけます。でも軒先が高いと吹き降りの雨に弱い。これがちょっと気になるところです。2階の窓にも影響するしでちょっと悩みます。
やっぱり計画段階で断面図にソファーも描いて、視界の角度、夏至と冬至の日射の角度、吹き降りの雨、すだれの高さ、ターフの留め方、テラスの広さ、植木の葉の広がりなど、思いつくすべてを重ねてみるのが良いと思います。緑の木漏れ日はやっぱり気持ちいいですしね。ゴーヤのカーテンも捨てがたいです。