山田 2022.09.10

Blog「断熱材を入れてみた」私のすまいづくりvol.19

<断熱材を入れてみた>


 今週初めに中間検査があり、無事終わりました。中間検査では主に建物の配置、前面道路幅員、柱頭柱脚金物、構造用面材の仕様などを見られます。特にやましいことはありませんがなぜかいつも検査の際は緊張してしまいます。
前回、木部塗装をした様子をブログで報告しましたが、結局塗り終えるまで合計5回は現場に足を運びました。休みの日や有休を使ってできる範囲で進めていたので、多少時間がかかっても仕方がないですね。
 さて、今回は一度やってみたかった断熱材の施工をやらせてもらいました。断熱材と言っても種類は色々あり、床や屋根にはフェノバボードというボード状の断熱材を入れており、薄くても断熱性能が高いものです。壁に入れる断熱材は充填断熱材と呼ばれ、壁厚の分だけ入れることが可能なため、床や屋根ほど断熱性能が良くなくてもそれなりの断熱効果が見込め、グラスウール、ロックウールなどの繊維系断熱材がよく使われています。我が家の場合もグラスウールを使っていますが、少し一般と異なるのは厚みを120mmとしていることと、袋詰めになっていないことです。袋詰めの断熱材は防湿シートにグラスウールやロックウールが入っていて、断熱材を壁に入れる際には両端の耳に部分を間柱などにタッカー留めして施工します。施工はしやすく単価も安いため、一般的にはこの袋詰めの断熱材が使われていますが、窓の上下の部分や普通よりも間柱間寸法が狭い場合など、既製品寸法と異なる場所に施工する場合、袋を切って調整する必要が出てきます。その際、どうしても防湿シートの納まりが雑になったり、場合によっては変な隙間ができてしまいます。これは施工者の技量に大きく左右されるため、丁寧な工務店さんであればそこまで心配しなくてもいいかもしれませんが、どうもその辺が気になるところです。


 我が家の場合は断熱材より室内側に可変透湿気密シートを想定しているため、中途半端な防湿シートはない方がスッキリするというのと、袋詰めの一般的な断熱材の厚みが105mmなのですが、それより断熱性能の良い120mmの断熱材を使いたかったというのが理由です。袋詰めの120mm厚の断熱材も探せばあるかもしれませんが、120mm厚の壁に充填するときっと室内側に膨れてきてしまい、うまく納まらないと思われます。袋に入っていない断熱材の場合も、そこがうまく入るかどうかは心配な点でもありました。以上のことを考慮しながら今回採用に至った断熱材は旭ファイバーラスのアクリアウール16K、120mm厚という製品です。
 実は生のグラスウールで一番の問題点はチクチクするということです。袋に入った製品が一般的なのもこのチクチクするというグラスウールの性質が大きく、現場の職人さんも今回生のグラスウールを使用すると聞いた際には、だいぶ渋っておられました。アクリアウールという製品は袋に入っていないことが前提なので、チクチクする性質もだいぶ抑えられているとのことですが、職人さんたちは誰も実際に扱ったことはなく、施工してみるまでは疑心暗鬼な状態でした。

 大工さんたちは木部の施工で忙しくしていて、私が断熱材を施工しても迷惑にはならないとのことです。とりあえずどんな感じで施工ができるものか試してみます。まずは素手で触ってみましたが特にチクチクする感じはありません。ただ、やっぱり素手で扱うにはちょっと怖いので、基本手袋をはめて作業をします。120mm厚の断熱材を切る際は断熱材用のナイフを使います。カッターよりしっかりしているため、真っ直ぐにサクサク裁断ができます。断熱材の幅は380mmのものが用意されていました。断熱材を入れてみてわかったのですが、断熱材の寸法が間柱間の寸法より少し大きめだと少し縮みながらしっかりと固定できるのですが、断熱材の方が少しでも小さいと手前の方に傾いてきてしまい、しっかりと固定ができません。その際は細長く切った断熱材を横に足してやればなんとかなりましたが、結構手間がかかり、面倒な作業でした。

 断熱材の寸法が380mmというのは120mm角の柱と45mmの受け材の間に入れる場合、その内法寸法が372.5mmとなるのでちょうどいい感じで入ります。ただ同じ寸法のところばかりではなく85mmの間柱と45mmの受け材の間に入れる場合、その内法寸法は390mmとなります。その場合10mmだけ断熱材の方が小さいのですが、しっかりと中に納まってくれず、上記のような形で横に断熱材を足してやらなければなりません。袋詰め断熱材の場合は多少サイズが小さかろうが、耳を間柱に止めつけてやればいいだけなので、問題なくスルーしてしまうでしょうね。
 問題のチクチク感はというと、湿度が高い日中に半袖で作業をしていたので、手や首には繊維が結構付着していましたが、すこし痒いかなという程度で済みました。きっと従来のグラスウールではこんな程度では済まないはずなので、だいぶ作業がしやすい材質になっているのだと思います。作業をするにはやはり、手袋、マスク、長袖長ズボンという装備は必要そうです。


今回、生のグラスウールを施工してみてわかったことは以下になります。
・ちゃんとチクチクしづらい素材になっているが、作業終わりは手首や首回りがチクチクする
・ちゃんと倒れてこない状態にするのが難しい
・加工がしやすく切断やちぎることも容易なため、細かな隙間に充填することが容易
・目視で充填の状態が良く分かる

 生のグラスウールはそれなりに良い点も多く、今後も使っていきたい断熱材ではありますが、一般的な袋詰めの105mmのグラスウールやロックウールに比べると2〜3倍くらい割高になります。自分の家ならとりあえずやってみたかったということで納得できますが、一般的にはそうそう安易にお勧めもできないかな・・・難しいところです。

配線が混み合う壁の断熱材は床で使用したフェノバボード63mmを利用。余った空間に配線をしています。

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