山田 2022.09.16

Blog「調湿気密シートを張ってみた」私のすまいづくりvol.20

<調湿気密シートを張ってみた>

 断熱材の施工も終わり、次は気密シートの施工になります。断熱材の施工の際は計4時間ほど現場で作業しました。全体の1/5くらいはできたように思います。その後現場の大工さんが施工の続きをしてくれましたが、いつもの袋詰めの断熱材よりもやりやすく、時間もかからなかったとのことでした。ただやっぱりチクチクはそれなりにしたそうです。
 さて、今回我が家では調湿気密シートと呼ばれる気密シートを室内側に貼っています。基本的には湿度の高い側から湿度の低い側へ空気中の水分は動くため、冬場は室内から屋外へと流れができます。その際に室内側に気密シートを貼ることで、壁内の断熱材に湿気が入り込まないようにします。ただ、夏場は湿気の移動が逆の屋外から室内へと変化します。これは屋内でエアコンをつけることで室内の湿度が下がるためです。その場合普通の気密シートを貼っていると気密シートの断熱材側の表面で湿気が止まってしまいます。そして、気密シートの表面は室内側には石膏ボードが貼られているだけのため、室温同様表面温度が下がっており、そこで結露をしてしまう恐れがあるのです。いわゆる夏型結露と呼ばれる現象です。それを避けるため調湿気密シートの場合、夏には屋外からの湿気を室内に通す仕組みとなっています。ですので、例えば室内の仕上げに湿気を通さないビニールクロスなどを使用すると結局そこで湿気が止まってしまうので、あまり具合が良くありません。クロスを貼るにしても紙クロスなど湿気を通すような材料でできているのが理想です。
 冬型結露は比較的容易にイメージもできて、今の計画で問題もないと思っています。ただ、夏型結露に関しては理論上は以上のような感じで壁内結露をさせない前提で計画していますが、正直上手くいくものだろうかどうかはちょっと自信がありません。5年後、10年後に壁の中を覗いたりできると良いのですが。

 調湿気密シートはMAGという会社の「イゾベール・バリオ エクストラセーフ」を使用しています。これまでに「タイベック・スマート」という同様の性能を持った気密シートを使ったこともありますが、シートが不透明でマス目もついていないため、施工の際の裁断や間柱の確認がしにくく、大工さんの評判が芳しくありませんでした。イゾベール・バリオはシートが半透明で、裏の断熱材や間柱もしっかりと目視でき、マス目がついているため水平垂直も容易に確認できるため、非常に施工がしやすくなっています。

 40m×1.5mのロールが既製品寸法となっています。そのため、壁に施工する際には上下2段で張り付いでいく形としました。ある程度シートを引っ張ってやらないと中の断熱材が室内側に膨らんできたり、石膏ボードを貼る際にシートにしわが寄ってしまうため、シートの両端と中央を引っ張りながら一旦タッカーで固定し、シワがよらないようしっかりと伸ばしながら貼っていきます。とりあえず現場の大工さんと一緒に壁1面だけ貼ってみましたが、コンセント周りや配管貫通部の処理などもする必要があり、結構時間と手間がかかりました。現場も初めて扱う製品のため、不慣れではありましたが、施工性は良いため今後も使えそうな商品だと思います。

 実際に施工をした感想としては、シート自体にマス目があり半透明になっている点は非常に良くできていて、逆にこれがないと施工するのが大分と面倒な気がします。しかし、いくら施工がしやすいといっても手間はかなりかかりそうで、一人でやるとしたら3、4日くらいはかかりそうです。断熱材より、気密シートの施工の方が大変だということがよくわかりました。

こんな感じで裏が透けているので下地の確認が容易です。


カッターで切る際は安定した場所で、しっかりと定規を当てれば切れます。シートの裏がフェルトのようになっているので簡単に切れるわけではありませんでした


シートを引っ張りながらカッターを入れてやると簡単に切れます。机上で前もって切るより、壁に留めつけた後で切る方が案外切りやすかったです。


こんな感じでタッカーで下地の間柱に留めつけていきます。


コンセントボックスに事前に電気屋さんが気密カバーをつけてくれており、シートをコンセントボックスの大きさに切り、気密カバーと気密シートを気密テープで貼り合わせます。


施工後の様子。上手くピシッと貼れている気がします。


気密シートの施工のついでに、缶入りのウレタン吹き付け材を窓と間柱の隙間に充填する作業もしてみました。缶入りのウレタン吹き付け材は基礎と一階の柱に取り付いている金物の結露を防ぐために、その金物周りに吹き付けたり、断熱材が入れにくい隙間などを充填する際によく使用します。ノズルのついたスプレーで吹き付けるだけなのですが、中のウレタンが周りと付着しないとすぐに剥がれ落ちてしまいます。時間をおくとどんどん膨れ上がってくるため、良い塩梅がどこなのかを見極めるのが難しいです。


窓額縁と間柱の隙間をウレタンで埋めた様子


金物をウレタンで吹きつけた後、余分なところはカッターで切り落とします。

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