Works誰もが暮らし続けられるすまいと地域の拠点づくり ことらいふ東寺

About

空き家になっていた隣り合う京町家を一体的に改修し、地域の居場所活動「居場所よっとーくりゃす」の拠点と、4つの住まいからなるグループリビング「ことらいふ「東寺」に生まれ変わりました。
 南北の猪熊通りに面する2階建ての町家と、直行する路地に面する平屋建てを一体敷地として活用するために、間を石畳の路地のような中庭としてしつらえました。軒先の縁側に腰掛けて樹々や草花を楽しめるコモンスペースです。
 猪熊通りに面した2階建ての家も路地に面した平屋も昭和12年ごろに借家として建てられ、構造材もひよわで、屋根も土壁もかなり傷んでいました。裏庭には水回りや小部屋などが無秩序に建て増されていました。本改修では京都市の「京町家の耐震診断士派遣事業」を用いて耐震診断と耐震改修基本計画を行い、建物を元の骨格に戻しながら間取りを整え新たな壁や柱を増やしながら補強しています。京町家の工法を熟知する職人の技と知恵があってこそ再生された建物です。またこのプロジェクトに賛同し多くの職人さんが力を発揮してくれました。
 このプロジェクトは、国交省の補助金「人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業」(令和3年度)を受けています。多様な世帯が地域で安心して暮らせる住環境整備に貢献するプロジェクトと認められたものです。
 グループリビングは、高齢になっても安心して暮らせる住まい環境を作りたいと始めた「集まって作る安心の住まい研究会」から生まれました。2016年に一つ目のグループリビング「ことらいふ嵯峨野」ができ、これは二つ目になります。

Data

工事種別
改装
所在地
京都市南区
構造規模
木造2階建
延床面積
東棟:162.18㎡  西棟:34.97㎡
施工者
株式会社風・住・研
施工
2022年5月

東棟 通りからの外観


平面スケッチ


西棟 平屋


東棟と西棟の間の中庭 この縁側を通って右脇にあるサロンや奥のグループリビングへ 手前左側が西棟


石畳とアオダモが路地の雰囲気を際立たせています。


2022年7月3日サロンで行われた竣工祝賀会の食事風景


よっとくりゃーすは、2008年増田隆子・二三夫夫妻の自宅を解放して開設された地域活動です。ちょっとお助け隊、生協の個人引き取りの請負、バザー、まちねこ活動などこれまでいろんな取り組みをしてきました。ことらいふ東寺サロンに拠点を移し、ますます幅広い活動を展開しています。


居場所よっとーくりゃす活動イメージスケッチ


グループリビングの住戸 二間と食事が作れるキッチン、トイレ・洗面台・洗濯機置き場からなる水回りがついています。土地壁の面影を残し、古建具を用いて京町家らしい風情を大事にしています。


キッチン周り 表の通りに面した窓には簾を掛けています。


2階への階段は出来るだけ緩やかに架け替え、手すりを設けました。必要に応じて階段昇降機を取り付ける準備もしています。


2階の窓台から西隣の平屋棟と周辺の街並みが伺えます。


改装前の外観 築後増築された表の部分を撤去して元の骨格に。


現場写真:解体 構造材や土壁を残して内装等は全て撤去し、建物の傾きを可能な範囲で直します。


柱の腐っている部分を新しく差し替えたり、補強材を入れたりしていきます。


竹小舞を編み、土壁をつけていきます。


土壁の仕上げは、中塗り壁仕上げというもので、漆喰塗りなどの仕上げの手前の下地塗りを仕上げとするものです。


瓦屋根は、耐震性能を上げるために、軽くするため鋼板葺きにしました。


中庭の縁側部分の工事 庭には市電の敷石が敷かれました。