Works景色を切り取る家

About
幼い子どもが大人になり、別の土地で暮らしはじめたとしても、気軽に帰ってこられる、ずっと確かなマイホームがほしい。
Aさんが打合せの中でおっしゃっていたのが、大変印象的でした。その思いを受け、普段はAさん夫婦と子どもの暮らし、近々お母さんとの同居を踏まえた住まいづくりがはじまりました。
A邸は北側に桜の名所として知られる川の堤が見渡せ、遠方には山並みも見えます。この土地の原風景を積極的に取り込み、空間の一部に組み込むことでふる里といつでも帰れる我が家が空間として強く認識できるよう配慮し計画しました。そのことで、内と外のつながりがもたらす居心地の良さがつくれたように思います。
住み始められて一年半が過ぎましたが、子どもたちの成長とともに家具の配置を変えられたり、庭に徐々に植栽が加えられたり、風景の移り変わりとともに 少しずつ家に時間が刻まれていました。
Data
- 工事種別
- 新築
- 所在地
- 京都府井手町
- 構造規模
- 木造2階建
- 延べ床面積
- 113.04㎡
- 施工者
- ツキデ工務店
- 竣工
- 2011年4月

屋根材はガルバリウム鋼板、外壁材はしっくいとリシン吹き付けです。玄関の木製建具は少し変わった格子デザインで白い外壁にさりげないアクセントとなっています。玄関脇の長い袖壁は玄関まわりと壁の向こう側にリビングとつながる庭を分けます。

玄関の靴棚上にある小窓は目線より低い位置にあり、お庭のテラスや緑が少し見えるようにしました。窓上の壁は絵などを飾るスペースとして利用できます。

LDK 北と南に大きく開口をとり、光と風をとりいれます。食卓や居間の天井は一部杉の梁や2階の床板裏が見えるように仕上げ、南側の天井高さを上げて同じ空間の中でも雰囲気が変わります。

LDKの北側窓からは畑向こうの川沿いに咲く桜並木が見えます。

台所から南側の庭が見えます。食卓との間は腰より高い位置まで壁をつけ台所から雑多なものが見えないようにしました。

階段の手すり壁と階段横の左官壁は着色してLDKのアクセントになるようにデザインしました。

LDKの北側横には階段下スペースに設けた書斎コーナーがあります。

書斎コーナーの間口は半間ですが、コンパクトなだけにこもってやる作業にはちょうどいい空間です。

書斎コーナー ここからものどかな景色が見えます。

階段の手すり壁の木部が太く力強いです

子ども室 今は前室とつながっていますが、将来建具をとりつけて分けることも可能です。

納戸から見る 洗面所・廊下・トイレ 将来のことも見据えて三つの引戸を開けきると車いすが回転しやすいスペースが生まれます。