Works教会の隣に立つ幼稚園 -幼稚園型認定こども園 復活幼稚園-

About

 復活幼稚園はW.M.ヴォーリズによって昭和11年に建設された復活教会と同じ敷地内に建つ幼稚園です。新しい園舎は園庭の真ん中にあるトチとイチョウの大木を残し、その木々を囲むような形でL型に配置し、西棟を2階建、南棟を平屋建てとしています。
  南棟を平屋として高さを抑えることで、園庭や樹木に十分に光が行き届くよう配慮しています。西棟には保育室やランチルームを配置し、園庭から午前中の陽が入り込みます。どの部屋からも木々が眺められ四季折々の美しさを満喫することができます。
 遊戯室と礼拝堂の間に増築されていた保育室は撤去し、中庭として整備しました。美しい教会の建物に囲まれた中庭は園庭とつながり、子ども達にとっての新たな遊びの場になっています。  
 職員室は玄関に面した建物中央部に計画することで、子ども達の動きを把握しやすく園庭への見通しも良くなるように配慮しています。
 外壁はレンガタイルや杉板をアクセントとして使い、教会に対して主張しすぎず、全体として落ち着いた外観としています。内部空間は創建当時の幼稚園のように、木に囲まれ、落ち着いた雰囲気を引継いでいます。

Data

建築主
学校法人 復活学園
敷地
京都府 京都市
構造・規模
RC造 2階建て
延べ面積
612.36㎡
施工
株式会社 田中工務店
竣工
2021年3月

門扉は先生達に色やタイルを決めてもらい、銘板の取り付く塀は桧の板塀です。


レンガタイルの外壁に合わせた玄関建具。


お雛様やクリスマスツリーなど、季節の飾り付けもできるくらいゆったりとした広さを持つホールになっています。手前に見える柱は北山杉の天然絞り丸太。中田林業さんが手塩にかけて育てたものです。床材はかえで。明るく色白で広葉樹特有の硬さを有しています。


保育室 家具や腰壁も木材で統一し、落ち着いた雰囲気です。床材にはくるみを張っており、床暖房設備を入れています。右奥のピンク色の壁は鉄板下地にダイノックシートという仕上げ材を貼ったマグネット掲示板。


前室 大部分のロッカーを保育室の外に配置しています。朝夕の支度やお着替えは前室で行い、保育室内ではしっかりと保育の行えるスペースを確保しています。


玄関建具 欄間部分にはステンドグラスが入り、建具にも色ガラスを使って教会の幼稚園らしい可愛らしいデザインとしています。ステンドグラスはヴィエンヌステンドグラススタジオによる制作。


窓から光を取り入れ、床やタイル、扉の色を工夫し明るく楽しげな雰囲気に。出来るだけ子ども達が気持ちよくトイレに行ってもらえるよう計画しました。


乳児トイレ。明るく気持ちの良い空間です。保育室からは中の様子がよくわかるようにしています。


階段 踊り場の正面には教会と同じく丸窓があり、吹抜けを明るく照らしてくれています。


2階のトイレはピンクの床に青系のタイルを合わせています。


屋根の形を活かした開放感のあるランチルーム 厨房での調理の様子も見られるので、準備を手伝ったり食育の場としても。床材は濃淡がはっきりとした山桜を貼っています。


2階の多目的保育室 習字やお茶など、普段の保育とは異なる活動を行う場として利用。屋根勾配なりの天井となっており、1階の保育室とは違った空間的な広がりを持っています。天井の高さを利用して、3つの異なるサイズのペンダントライトを取り付けています。


正門の門扉 杉板の型枠を使ったコンクリート打放し仕上げの壁。門扉の色とアクセントに入れているタイルは先生達と一緒に選んだもの。


芝生敷の屋上 建物の南側を平屋とすることで、園庭にしっかりと陽が行き届きます。芝生の間に枕木を埋め込み、その上に夏は組み立て式のプールが置かれます。南側からの視線に配慮し、プールが置かれる範囲はRC壁を立ち上げています。


園庭のトチとイチョウの木が間近に迫り、普段の目線とは違う距離感で樹木を感じられます。