Works新しい住まいの形を求めて -よしだ内科診療所グループホーム-
About
開業以来、施設の新築や改装などにずっと関わらせて頂いている医療法人が診療所に近接した敷地に新たにつくった認知症高齢者のグループホームです。
設計の大きな目標は「誰でも住みたくなるような良質な住まいづくり」でした。建物の1階は管理部門と地域交流室です。地域交流室は入居者が家族と面会したり、家族会を開いたりするいわば応接間のような場所で、入居者の第二の寛ぎの場と考えました。2・3階はそれぞれ9名で一緒に暮らす居住階です。居間・食堂は陽当りも見晴らしも良く広がりもあり最も居心地の良い場所で、人と接する暮らしが自然と育まれるように意図しました。また、集団で暮らす事を強いるのではなく自らの意志で人との距離を決められることを大切にしたいと考え、個室は居間・食堂からあえて距離をおきました。個室には専用の洗面と便所を備え、衣類などを収納する家具を造り付けています。ベランダの近くには馴染みの家具も置いて一人で寛げるぐらいのスペースを設けました。ベランダは個室から段差なく出られ個室の居住性を高めると同時に火災などの緊急時に一時避難の場となります。
グループホームを人が暮らす新しい集合の住まいの形と捉え、認知症であっても安全で人間らしく生きるための建物がどうあるべきかを法人と一緒に探求しました。
Data
- 敷地
- 神戸市 496.34㎡
- 構造・規模
- RC造 3階建て
- 延べ面積
- 860.99㎡
- 施工者
- 株式会社 柄谷工務店
- 竣工
- 2015年6月
外観
周囲を巡るバルコニーで水平を強調し、日差しを遮るルーバーをアクセントにしています。外部は外断熱工法を採用し白いレンガタイルで仕上げました。近接する診療所と同じような仕上げ材を使って関連施設であることが視覚的にわかるようにしました。
玄関ホール
各階や各部屋にアクセントカラーを使い場所の認知性を高めています。
地域交流室
アイランドキッチンを中心にカフェのような空間をイメージしてつくりました。床は胡桃材です。
それぞれの階の居間・食堂
南東に面していますがエレベーター前のホールを介して西側にも眺望が広がるようにできています。床は桜材です。
個室へとつながる廊下
単調にならないように片側に本棚をしつらえました。扉の一部と、個室の壁の一部は18室それぞれに違うシンボルカラーで塗られています。
ドアの脇には表札が掛けられるようになっています。
個室
壁は収納側がコンクリート打放し仕上げで廊下側が部屋ごとのシンボルカラー、その他が白で塗られています。床は桧材です。