Works自然素材×ピアノ×DIYの家

About

 山裾に近く、冬は寒く夏は涼しい高台の敷地です。南面が道路で日当たりも良いため、1階はLDKを南側に並べ、水回りや玄関、階段を北側にまとめています。面積を抑えたコンパクトな間取りとしており、極力廊下を減らし、動線を短くしています。2階には個室が3部屋と家族の衣類をまとめて収納するウォークインクローゼットがあります。
 仕事上ピアノを使われることも多く、子ども達も気軽にピアノを弾くことができるように居間の延長にピアノ室を設け、居間との間は3枚引き違いの建具で間仕切れるようにしました。普段は戸を開けた状態で、ピアノを弾く時間だけ戸を閉めます。遮音効果はそれほど期待できませんが、空間的に閉じられ、集中ができれば良いという割り切りです。
 床は杉、胡桃、いたやカエデ、ほおの木など、多種の無垢フローリングを場所場所で使いわけています。壁には調湿性のある紙クロス「オガファーザー」を貼り、その上に自然健康塗料の「デュブロン」を施主施工で塗っています。どちらもドイツ製の仕上げ材で、自然由来の製品です。照明器具やスイッチ、洗面器など施主自らが支給したものも多く、想いの詰まった住まいになっています。
 構造材や仕上げ材は全て京都府内産材を使用し、木組は大工の手刻みで出来ています。地域の材を使い、作り手の技術を活かすことによって、持続可能な林業の継続や大工技術の次世代への継承につながることを期待しています。

※地域型住宅グリーン化事業、みやこ杣木普及促進事業、ひろがる京の木整備事業による補助金を利用。

Data

工事種別
新築
所在地
京都市左京区
構造規模
木造2階建
延べ床面積
86.13㎡
施工者
村尾工務店
竣工
2022年11月

敷地は山裾の傾斜地で、東側に一軒挟んで山が迫っています。外壁はリシン吹付仕上げ、屋根はガルバリウム鋼板の縦平葺き、樋もガルバリウム鋼板製で軒裏は木部が化粧で表されています。


ウッドデッキ、植栽、門柱、板塀、緑化ブロックなど外構は全て施主のDIYによるもの。


玄関土間はモルタル仕上げ、上り框は栗、床は胡桃の無垢フローリングを貼っています。手すりは北山杉の垂木丸太。のれんの奥は納戸となっています。


キッチンカウンターはステンレスのヘアライン仕上げ、本体は杉の造作家具として製作。カウンターの厚みやバックガードの立ち上がりを小さくすることで、スレンダーに見せています。家電収納は居間からすっきり見えるように天板の上に30cmほど立ち上がりを設けています。壁には色味にこだわって決めた藍色の渋いタイル。


奥からI型キッチン、家電収納カウンター、食卓と並びます。


玄関との間にはレトロな型ガラスが入った古建具が入っています。ダイニングのペンダント照明は飛松灯器の陶器製のシェード。


居間とピアノ室は3枚引き違い戸によって間仕切られており、普段は開け放して居間と一体の空間として利用されています。床は杉の無垢フローリング。


ピアノ室:床は硬質で傷もつきにくい、いたやカエデの無垢フローリング。楽譜棚の扉は古建具を再利用し、建具に合わせて棚の幅や高さを調整しています。床の下地に遮音シートを貼り、壁も石膏ボード二重貼りとしており、一般の仕上げよりは防音に配慮しています。


洗面コーナー:両側のトイレと脱衣室につながる扉は高さを調整した古建具を再利用しています。洗面ボウル、水栓、タイルを青系でまとめ、統一感を出しています。床は水気に強く、程よく固いほおのきの無垢フローリング。


トイレ:階段下のスペースを利用し、トイレを配置しています。床は300角のタイル張りとし、便器の後ろに収納を設けています。


2階廊下 施主支給のシンプルなブラケットライト。2階は全て杉の無垢フローリング。


階段:真ん中に見えるのは北山杉の磨き丸太。ツルツルとした手触りが気持ち良いです。


寝室 南面の窓から近くの山が眺めます


個室:屋根なりの天井で、空間的な広がりが感じられます。壁は1面だけピンク色に塗装しています。


個室:床からの窓位置が少し低いため、布団干しも兼用した手すりを外部に設置しています。


デッキに出ると山から鳥や虫の囀りが聞こえてきます。ウッドデッキの上には冬の日差しは室内に取り入れ、夏の日差しは遮蔽してくれる深い軒がかかっています。


施主支給のトグルスイッチ。少し特殊なスイッチでも設計の段階で想定しておけば、無理なく設置ができます。