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人が暮らす空間に大切なもの・・・都市集中の課題

最終更新: 6月26日

 私達は、これまで住まいにとって大切なことを、人とのつながりや外部とのつながりと捉え、人に とって心地良い空間とは何かを追求し、生活施設 設計にも発展させてきました。ソーシャルディス タンスが問われる昨今、人との距離を保ちつつ人同士がつながる安心感を大切に、今まで以上に周辺の環境との調和、そこに暮らす人々のつながりや地域について改めて考えなければなりません。

 壮大な話になりますが、住まいのソーシャルディスタンスについても考えられないでしょうか。緊急事態宣言による在宅勤務で、「案外出勤しなくてもリモートワークで働き続けられる」と思った方々 に共感してもらえれば、これからの世の中は随分変わるかもしれません。

 

 都市部においては、将棋の駒のように家を動か すことは不可能で、私たち設計者にできることと いえば、建ぺい率をギリギリまで使った計画をせ ずに空地や緑地を設け、メンテナンスのしやすさ、 風通しや日当たりを考慮する事。改築においても 傷んだ箇所を直しつつ、必要に迫られ慌てて増築 した部分を減築して庭に戻す事くらいです。 でも、大きく視点を変えれば、「ポツンと一軒家」 とまではいかないまでも、故郷に残したままの家、 遠方で年老いた親が暮らす家、子どもの頃遊び行っ た祖父母の家・・・このまま放置せざるを得ない と思っていた家屋がきちんと手を入れる事で自分 たちの快適な住まいに変わるかもしれません。

 ” 在郷” 勤務、たまに遠距離通勤です。そうすることで、都市部への住まいの集中を避けられま す。人々の暮らしが満遍なく日本中に点在すれば、 都市部の地価が高騰する事もなく、百年以上も建 ち続けている町家や商家などの古民家が相続税対 策のためにどんどん壊されていく事もないかもしれません。

 さらに勝手な発想をするならば、在宅勤務が基本で週に1・2度しか出勤しなくていいのなら、 事務所を都市部に構える必要もないかもしれません。コロナの影響で高額な家賃やテナント料を払えずに大変な思いをしておられる方々の報道がたくさんありました。都市にこだわらなければ、低家賃の物件や空き家もたくさんあります。


 週に1回、早起きし時間をかけて田園地帯にある会社に、ピクニックにでも行くような気分で出勤する。まるで夢のような話ですが、実現すれば 田舎で丁寧に建てられた立派な建物たちも、朽ちていかずに済むかもしれません。

「先人が残した物を大切に使い続ける」ことが 地球環境に負荷をかけない、これから先の生活の大切な課題になっていくと思います。そもそも ウィルスの発端は、開発や経済活動優先の人間社 会が、野生動物との距離を保てなくなったことに 起因するとも言われています。コロナの問題も然り、頻発する台風、海面上昇、猛暑や大雪などの 地球温暖化のあらゆる現象を、自然界からの警鐘と真摯に受けとめ、人としてできることに取り組んでいきたいと思います。



(もえぎニュースvol.74 もえぎのみんなで考えてみました より)

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