清原 2023.04.12

Blog断熱リフォーム すまいの細部を考察する Vol.27

古い住宅をリフォームする場合に断熱性能を高めたいということがあります。まず冬が寒い、そして夏が暑いとなりますが、単純に断熱性能では両方は改善できません。冬は熱損失量を減らす、夏は日射熱の侵入を防ぐのです。冬の熱損失の半分はサッシ(開口部)から熱が逃げると言われています。(シングルガラスサッシの場合)次は換気と気密。次に床・壁・天井の順番に断熱性能をあげる。(壁の方が熱損失量は多いけれど、床の方が体感寒さは感じやすい)

一般的な熱損失の図解 シングルガラスサッシの場合

さて、まずはサッシですが、一番簡単なのはインナーサッシを取り付けるのですが、これには難点があります。風を通したり、出入りをするのに窓を2回開けなければなりません。窓拭きも2倍に増えます。サッシとサッシの間の掃除なんてとても面倒です。それと元のサッシに結露が増えます。この仕組みはちょっと難しいので省きますが、結構結露します。でも断熱性能は上がります。インナーサッシをLowーe複層ガラスとしていると、合計ガラス3枚なので、そこそこ熱損失は減らすことができます。

もう一つのやり方はサッシの交換です。枠ごと外してやり変える場合と、カバー工法で今のサッシ枠に新たなサッシを取り付ける方法。カバー工法の方が外壁のやり変えがない分簡単に済みますが、少しまたぎが出ます。サイズもひとまわり小さくなります。木造でもRC造でも、鉄骨造でもできます。

この次に何をするか。換気と気密については改装工事でこれを改善するのはとても大変なことです。内装丸ごと剥がしてやり変えるような大掛かりなリフォームを検討している方はできますが、ちょっとの費用で効果的に断熱性能を、というときには諦めるかな。理想的にはやるに越したことはないのです。耐震改修もとなると薦めます。でも順番としたら床の断熱ですかね。(床が一番寒さの実感につながりやすいので。)

床の断熱は床下から断熱材を張り上げることができれば、内装を触らずに性能をあげることができます。天井裏も進入できれば天井断熱ができます。でも天井はネズミの侵入があるようなときは天井断熱をすることにより、その上でネズミが排便をするということにつながって泣けてきます。ネズミの侵入も同時に塞ぐ必要がありますね。(難しいけれど)天井の断熱は冬というよりは夏の対策ですが・・・。

壁はやっぱり剥がさないと断熱ができない。と思いきや、今の内装の上から断熱材を貼るということもできます。少しずつ部屋が狭くなっていくのでどうかと思うのですが、できます。LIXILで真空断熱材を内装プラスターボードと一体化してある商品もあります。採寸の上オーダーで壁パネルを作るというなかなか大変な施行ですが、部屋ごとの断熱性能を高めることも進んでいます。そもそも真空断熱材ってどうなの?って考えると、うっかり釘でも打って穴を開けたら効果ゼロってねー。それが後から検証できない訳で、確認のしようもない。で、使用は控えておきます。