清原 2022.07.28

Blog建具  すまいの細部を考察する Vol.14

建具。昨今はメーカーの既成内装建具がはびこる中、プリントシートを張ったそんな建具は使ってやるものかと製作建具で住宅設計しています。けれども、予算が厳しいので練り付け合板のフラッシュ戸を多用する破目になっているのも事実。無垢材だけで、框戸だけで作れたらなーと思いますが、そんな設計は結局のところしたことがない。練り付け合板なんて国産材だけでできるはずもなく、ここでも木材自給率を引き下げることに力を貸してしまっているのもやむなし。うちの家の改装工事ではフラッシュ戸は一枚も使っていないと自慢するも、すべては古建具の再利用だからです。

古建具の利用はおおよそサイズに制約があります。

木製建具は小儀みよい細工の集積のようなもので、出来の良い建具はほれぼれするものです。だからと言って技巧を凝らした建具を多用すると、寺社仏閣・茶室のような古風な存在感が前面に出てきてしまうので、住宅の中ではどうも落ち着かない。最近見慣れていないからなのかもしれません。既成建具が先導して現代っぽさを作り上げているのかもしれませんが、あっさりとした建具が現代っぽく見えてしまいます。これ、製作建具でありながら、技巧を前面に出さず何もないかのような主張をしないデザインに魅かれてしまいます。

伊礼智さんや中村好文さんの作品写真を見ていると引き戸で建具が開いている状態で内観写真を撮っていることが多くて、建具がほとんど写っていません。現物を見に行くと建具があっさりとしていて、開いているときの印象とさほど変わりないのが何とも不思議。それでいてそっけなくない。「デザインは凝っていないが、金物は安っぽくない。」これか。

框の見えない収まり、特別な金具を使っておられます。

必要なところに必要な分だけ、といった必然が感じられるのか。もうこれは感じとしか言えない自分が歯がゆいですが、そんな感じです。

シナ合板のフラッシュ戸なんて安っぽいとよく言われてきました。けれどこれ結構最先端の感じあるよねーと思えなくもない。ラワン合板の着色フラッシュ戸なんてよく見るデザインになってきたように思います。小屋萌えする人たちなんてぴったりですが、そんな人も少ないか?でもいい引手探さないとね。安っぽく見えますよ。